定着率を上げる方法|アルバイト・パートが辞めない職場のつくり方
目次
採用してもしばらくすると辞めてしまい、常に求人を出し続けている。募集にかける費用も、教える時間も、いつまで経っても減らない——アルバイト・パートの定着に悩む店長や採用担当者は数多くいます。
採用と定着は別々の課題に見えますが、実際にはつながっています。辞める人が減れば募集の回数が減り、教育の負担も軽くなり、残ったスタッフの働きやすさまで変わっていきます。
この記事では、定着率の測り方から、辞めない職場に共通する要素、そして明日から着手できる具体的な施策までを整理しました。入社1か月を超えた先、半年・1年と働き続けてもらうための内容です。
目次
- 結論:定着率は「働き続ける理由」を積み上げることで上がる
- 定着率の測り方と見るべき単位
- 辞めない職場に共通する5つの要素
- 定着率を上げる7つの施策
- ありがちな失敗パターンと注意点
- 自社で取り組む4つのステップ
- 採用と定着をつなげて考えるという選択肢
- よくある質問
- まとめ
結論:定着率は「働き続ける理由」を積み上げることで上がる
定着の話になると、辞めた人の不満をどう解消するかに意識が向きます。不満の解消は必要な対応ですが、それだけでは「辞める理由がない状態」までしか到達しません。
働き続けている人に理由を聞くと、シフトの融通が利く、一緒に働く人が気持ちよく接してくれる、任されている役割がある、といった答えが返ってきます。これらは不満の裏返しではなく、積極的に選ばれている理由です。
定着率を上げる取り組みとは、辞める理由を減らすことと、続ける理由を増やすことの両方を進める作業です。前者は職場環境の整備、後者は役割と関係性の設計にあたります。
定着率の測り方と見るべき単位
基本の計算式
定着率は、ある時点で入社した人のうち、一定期間後も在籍している人の割合で表します。
- 定着率(%)= 期間終了時点の在籍者数 ÷ 期間開始時点の入社者数 × 100
- 例:4月に10人採用し、6か月後に7人が在籍していれば、6か月定着率は70%
離職率と混同されやすい指標ですが、分母を入社者数に置くことで、採用した人がどれだけ残ったかを直接見られます。
3か月・6か月・1年の3点で測る
アルバイト・パートの場合、辞める時期には傾向があります。入社1か月以内、シフトが本格化する3か月前後、そして学生であれば進学や就職活動が重なる時期です。
測定を1年に一度だけにすると、どの段階で人が抜けているかが見えません。3か月・6か月・1年の3点で追うと、手を入れるべき時期が特定できます。
店舗別・媒体別・職種別に分ける
全社の平均値だけを見ていると、実態が均されてしまいます。店舗別に出すと、同じ条件で募集しているのに定着率が2倍近く違う、といった差が見えることがあります。
媒体別に分けると、応募経路によって定着の傾向が異なることもわかります。採用単価(一人採用するのにかかった費用)が安い媒体でも、早く辞める人が多ければ実質的な費用は高くなります。
辞めない職場に共通する5つの要素

1. シフトの希望が通る、あるいは通らない理由が説明される
アルバイト・パートにとって、シフトは働き続けるかどうかを左右する最大の要素です。希望がすべて通る職場は現実的にありませんが、通らなかった理由が説明される職場と、黙って削られる職場では受け止め方が違います。
2. 評価と昇給の基準が見えている
どれだけ働いても時給が変わらない状態が続くと、同条件で時給の高い求人が目に入った時点で気持ちが動きます。何ができるようになれば、いつ、いくら上がるのか。この道筋が示されているかどうかが分かれ目になります。
3. 相談できる相手がいる
困ったときに誰に言えばいいかがわかっている状態は、それだけで安心材料になります。逆に、店長が常に忙しそうで話しかけられない職場では、小さな不満が言葉にならないまま蓄積します。
4. 業務が属人化していない
特定の人しかできない業務があると、その人に負担が集中し、他のスタッフは手伝えないもどかしさを抱えます。手順が共有されている職場は、休みも取りやすくなります。
5. ハラスメントへの対応が明確になっている
労働施策総合推進法により、職場におけるパワーハラスメント防止のための措置は、中小企業を含むすべての事業主に義務づけられています。相談窓口の設置と周知は、その中心的な内容です。
アルバイト・パートも当然この対象に含まれます。窓口があること自体が知られていない職場では、制度があっても機能しません。
定着率を上げる7つの施策
1. シフトの提出と確定のサイクルを固定する
「毎月20日までに翌月分を提出、25日に確定」のように、日付を決めて動かさない運用にします。確定が直前になる職場では、スタッフは自分の予定を立てられません。
希望が通らなかった場合は、その理由を一言添えます。「土曜は希望者が多く、今回は調整させてもらいました」という説明があるだけで、納得感が変わります。
2. 昇給の基準を段階で示す
「頑張り次第」ではなく、できるようになった業務と時給を対応させます。レジを一人で回せる、発注ができる、新人に教えられる、といった段階を3つから4つ設定し、それぞれに時給の目安を置きます。
金額を提示する際は、地域の最低賃金を下回らないことと、実際に運用できる水準であることを確認します。
3. 役割を渡す
トレーナー、発注担当、売り場のディスプレイ担当など、小さくても任される領域があると、職場での立ち位置が生まれます。役割を持っている人は、辞める判断をする際に「引き継ぎが必要だ」と考えます。この心理的な重みが、思いとどまる材料になることがあります。
4. 短時間の面談を定期的に入れる
3か月に一度、5分から10分で構いません。困っていること、シフトの希望に変化がないか、やってみたい業務があるかを聞きます。学生であれば、テスト期間や就職活動の予定も確認しておくと、シフトの計画が立てやすくなります。
5. 感謝を伝える機会を仕組みにする
「助かった」「ありがとう」を言う文化は、店長の性格に依存させると続きません。退勤時にひと声かける、朝礼で前日の良かった対応を共有するなど、行動として決めておくほうが定着します。
6. 有給休暇を正しく運用する
労働基準法では、パート・アルバイトであっても、雇入れから6か月継続勤務し、全労働日の8割以上出勤した場合には年次有給休暇が付与されます。週の所定労働日数に応じた比例付与の仕組みです。
取得できることを知らないスタッフも多いため、付与のタイミングで本人に伝える運用にします。制度を適切に運用している職場は、それ自体が働き続ける理由になります。
7. 店長・現場責任者の負担を減らす
ここが見落とされがちな部分です。定着施策の実行者である店長が疲弊していると、面談も感謝の声かけも続きません。採用の連絡業務やシフト調整に追われている状態を放置したまま、定着施策だけを増やしても機能しにくくなります。
ありがちな失敗パターンと注意点
施策を一度に増やしすぎる
面談も表彰も研修も同時に始めると、数か月で回らなくなります。続かなかった施策は、スタッフから見ると「言っていたのにやらない職場」という印象になり、逆効果になることもあります。
辞めた人の理由を集めていない
退職時に理由を聞かないまま処理していると、同じ原因が繰り返されます。「差し支えなければ教えてほしい」と一言添えるだけでも、蓄積される情報は変わります。責める調子にならないよう注意します。
時給だけで対抗しようとする
近隣店舗の時給が上がったからと追随を続けると、費用の上限にすぐ到達します。シフトの融通、勤務時間の短さ、通いやすさ、人間関係といった条件面以外の要素を整えるほうが、他社に真似されにくい強みになります。
定着率を測らずに感覚で判断している
「最近は落ち着いている」という感覚と、実際の数字がずれていることは珍しくありません。特に複数店舗を運営している場合、全体では横ばいでも、特定の店舗だけが悪化しているケースがあります。
労働条件の変更を口頭だけで済ませている
シフトや業務内容、時給に変更がある場合は、書面やメッセージで残します。認識の食い違いは信頼関係を損ない、離職につながる要因になります。
自社で取り組む4つのステップ

ステップ1:3か月・6か月・1年の定着率を出す
直近1年の入社者について、各時点での在籍状況を集計します。店舗別に分けられると、次の判断が具体的になります。
ステップ2:抜けている時期を特定する
1か月以内が多いなら受け入れ体制、3か月前後が多いならシフトや人間関係、半年以降が多いなら昇給や役割の問題である可能性が高くなります。時期によって打つ手は変わります。
ステップ3:施策を2つまでに絞って始める
特定した時期に効きそうな施策を、多くても2つ選びます。シフト確定日の固定と定期面談、といった組み合わせから始めると、現場の負担を抑えられます。
ステップ4:3か月後に数字で振り返る
始めた施策と定着率の変化を並べて確認します。効果が見えない場合も、続けるか変えるかの判断材料になります。記録が残っていない状態では、この判断ができません。
採用と定着をつなげて考えるという選択肢

定着施策を続けるうえで壁になりやすいのが、店長の時間です。応募者への連絡、面接の日程調整、媒体ごとの管理画面の確認といった採用業務が積み重なると、面談やシフトの丁寧な運用に割く余裕がなくなります。
採用の神様が提供するATS(採用管理システム/応募者情報と選考の進み具合を一元管理するクラウドサービス)では、複数の求人媒体からの応募者情報を自動で取り込み、一つの画面で管理できます。
応募者がマイページから面接日程を選べる自動面接設定機能、追いかけメール、SMS送信、LINE連携といった仕組みで、連絡業務にかかる時間を減らせます。空いた時間を現場のマネジメントに回すという考え方です。
媒体ごと・店舗ごと・職種ごとの採用単価や採用率を比較分析できる効果測定機能もあるため、「どの経路から入った人が定着しているか」を確認する材料が揃います。料金は月額9,800円〜の明確な体系で、導入後も電話・メールでのサポートを受けられます。
採用そのものを外部に任せたい場合には、パート・アルバイトに特化した人材紹介サービスもあります。完全成果報酬型(採用が決まった場合にのみ費用が発生する仕組み)で、入社後30日間の退職保障を付けています。採用後の定着を重視した設計です。
よくある質問
Q. アルバイトの定着率はどのくらいあれば良いといえますか?
業種・地域・学生比率によって差が大きく、アルバイト・パートの定着率について一律の公的な基準値が示されているわけではありません。他社との比較よりも、自社の数値を店舗別に記録し、前期からの変化を追うほうが実務では役立ちます。
Q. 学生アルバイトは卒業で辞めるため、定着率を上げようがないのでは?
卒業や進学による退職は職場側で防げるものではないため、その分を織り込んだうえで数値を見る必要があります。一方で、卒業前に辞める人を減らす、卒業時期を事前に把握してシフト計画に反映するといった取り組みには余地があります。在籍期間の平均を併せて見ると、実態を把握しやすくなります。
Q. 面談の時間が取れません。どこから始めればよいですか?
全員との定期面談が難しい場合は、入社3か月目の一度だけに絞る方法があります。辞める人が集中しやすい時期に限定すれば、実施回数を抑えながら効果を確認できます。
Q. 施策を入れれば定着率は上がりますか?
退職の理由には、進学や引っ越し、家庭の事情など職場側で対応できないものが含まれるため、施策によって定着率が上がると言い切ることはできません。一方で、シフト運用の見直しや昇給基準の明示によって、在籍期間が延びた事例はあります。まずは自社の数値を測り、変化を確認しながら進める形をおすすめします。
まとめ
定着率を上げる取り組みは、辞める理由を減らすことと、続ける理由を増やすことの両輪で進みます。シフト運用の透明性、昇給基準の明示、役割の付与、短時間の定期面談。この4つは、大きな費用をかけずに着手できる施策です。
あわせて、パワーハラスメント防止措置や有給休暇の比例付与といった法令上の対応を正しく運用しているかも確認しておきます。制度が守られている職場であることは、働き続ける前提条件にあたります。
そして取り組みの前提として、3か月・6か月・1年の定着率を店舗別に把握できているかが分かれ目になります。どの時期に人が抜けているかがわかれば、打つべき手は絞り込めます。まずは直近1年の入社者について、各時点の在籍状況を出すところから始めてみてください。
参考文献・引用元
- 厚生労働省(雇用・労働条件・最低賃金) https://www.mhlw.go.jp/
- 厚生労働省 職業安定局(職業安定法・求人情報) https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/index.html
- 総務省統計局(労働力調査) https://www.stat.go.jp/
- 中小企業庁(中小企業の採用実態) https://www.chusho.meti.go.jp/
採用の課題は「採用の神様」で解決を
採用の神様では、アルバイト・パートの採用管理をまるごと効率化できるATSと、定着にコミットした人材紹介サービスを提供しています。まずはお気軽にお問い合わせください。
この記事は株式会社ファクトの監修のもと、採用の神様公式サイトの情報をもとに制作しています。